時代への視点  
第95号
 稲城市長石川 良一

稲城は都内最低の不登校率しかし… ('00,08,01)

 バスジャック事件の犯人が17歳の少年だったのに続いて、バット殺傷事件が同じく17歳の少年によって引き起こされました。
 それぞれの事件には個別の事情や原因があるわけで、いずれ解明されていくでしょう。ただこれらの事件の背景として、家庭に小規模化や孤立化によって家庭内や地域社会を含めた人間関係が希薄化し、人と人との関わりを持つ経験が減り、うまく友達関係を結べなくなっていることを指摘することができます。また豊かな情愛や感性を育てるより、競争に有利な知識を小さいうちから詰め込もうとすることによって、他者の喜びや痛みを自分も感じ共感する情愛(エロス)がうまく育っていないことも考えられます。すぐに切れたり無気力になったりするのは、我慢する体験が欠落することで自分をコントロールする気力が低下するからです。
 情愛の未熟は母性の・我慢の欠落は父性の機能がしっかりと果たされておらず、さらに社会自体の規範も低下するばかりでしっかりしたモデルを示せなくなっていることにもよります。
 稲城市内の小中学校の児童生徒の状況は、中学校生徒の不登校率が百人中0.97人と、都内の区市の中では最も低いことからもわかるように、大変落ち着いているといえます。また地域教育懇談会なども年々規模が拡大し、しっかりとした活動を積み重ねています。さらに公立小中学校の全校の教員で組織する「生活指導主任会」は問題行動の対応だけでなく、予防的、開発的な生活指導を目指しています。しかし本市でも青少年が事件の加害者や被害者になることは十分考えられます。
 今後の対応策は家庭では、父性・母性の役割をしっかり果たすこと。
 学校では知育に偏りすぎず多様な体験を積める仕組みをつくること。
 地域社会では、人の子供も褒めたり叱ったりする関係を再構築することではないでしょうか。
 言うだけでなく一人ひとりが生きたモデルとして実践するしか道はありません。
 

時代への視点 No,95('00,08,01) 


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